2021年5月22日（土）に第1回日本介護経営学会運営委員会主催小規模セミナーが「経験から学ぶ、新型コロナウイルス対策！」をテーマに、会員限定で開催されました。
事業者会員からの事例共有・事前アンケート結果の報告をしたのちに、参加者参画型の経験交流・意見交換を実施しました。
初めての企画でしたが、参加者にも参画をいただき、双方向での経験交流・意見交換を行うことができました。
今後も第２弾企画として、「ICTを活用した、これからの多職種連携」（９月頃）、第3弾企画として、「『LIFE』データの分析による効果的活用」（来年2月頃）をテーマに企画をいたします。
奮ってご参加のほど、宜しくお願いいたします。
開会あいさつ
栃本一三郎副会長
（本学会副会長/上智大学 教授）
冒頭、栃本副会長より、小規模セミナーは、学会の活性化、より充実した学会を目指して、会員同士の双方向議論、また親しく、いわば徹子の部屋のような形でざっくばらんに対談者を迎えて語り合う、さらに大学で言えばゼミのようなもの、相談会のようなものもあっていいのではということから発足した旨が説明され、スタート切りました。
事業者会員より事例共有①
丹野 智宙氏
（本学会理事/社団法人 慈恵会 理事長）
丹野氏より、法人内で発生した新型コロナウイルス感染症事例について報告がされた。実体験からの実務的な助言として、初期段階におけるPCRチェックの範囲・危機対策本部の早期の設置、行政連携の重要性について報告がされた。併せて、新型コロナの陽性になった人が不当に差別される事例もあり、不安や痛みに共感し、敬意を示したリスクコミュニケーションの重要性や「過剰自粛」と「そもそものADLやQOLなど」の社会的リスクと戦う必要があるとの指摘がされた。
新型コロナの経験からオンラインの普及・働き方改革が進展されたことを受け、地域包括ケアを強化し再構築することが最重要であると締めくくられた。
事業者会員より事例共有②
廣江 智 氏
（医療法人養和会 理事長）
廣江氏より、家族内クラスターによる職員陽性事例について報告がされた。養和会では、新型コロナ感染以前より、本部体制の強化、初動発生フローチャート、BCPチャート活用による感染拡大防止と経済的リスク回避、迅速なPCR検査実施の体制などの対策が講じられ、職員陽性事例発生時にも迅速な対応を可能としたとの報告がされた。今後の課題として、「在宅における情報の集約の壁、行政との連携等」「介護部門に比較し障がい支援分野の情報共有の困難さ」が挙げられ、今だからこそ、心がけたいこととして、「規則正しい生活を支援」「社会との交流を支援」「身体活動を支援」「感染がおこった時を予測し備える」ことを挙げ、援助の基本に立ち返ることが求められると締めくくられた。
アンケートの集計結果について報告
香取 幹 氏
（本学会理事･事務局長/株式会社やさしい手代表取締役社長）
香取事務局長より、日本介護経営学会会員ならびに、会員所属法人従業員を対象としたアンケート結果に関して報告がされた。限られた回答期間であったが、414件の回答があり、回答者の属性としては、事業所職員と事業所責任者が78％を占め、高齢者事業を提供している回答者が90％を超えた旨が報告された。
「アンケート結果の分析として、質問事項の相関関係を取り、相関関係が高い項目のトピックスとして、利用者のワクチン接種は、本人拒否や手続き理解不能の利用者がいて、全員の接種は難しいと思っている人は、高齢者の7月末までのワクチン接種終了は無理だと思っている」などの結果が明らかになった旨が報告された。
※アンケート結果報告書はこちら
参加者参画型 経験交流と意見交換
【ファシリテーター】
谷村 誠氏
（社会福祉法人みかり会理事長/本学会運営委員会委員）
谷村氏のファシリテートにより、事前アンケート分析結果に基づき、報告者、参加者が参加する形で意見交換がされた。BCP（事業継続計画）の重要性、サービスの質の向上、情報公表と行政との連携などテーマに意見交換・議論を行うことができた。参加者の方々にも積極的に参画をいただくことができた。新型コロナが落ち着いた後に今回のアンケート結果の検証を行う有意義な情報になるとの意見がされ、締めくくられた。
総括・閉会あいさつ
宇田 淳氏
（本学会理事／滋慶医療科学大学院 医療管理学研究科教授）
宇田氏より、学会として初めての参加型セミナー開催であったが成功裏に終えることができたのは、参加者の皆さまより、経験からのお話を多くいただいたからであるとの謝意が伝えられた。
介護経営学会として、どのような情報を提供するべきか、更なる勉強をしていき、会員とともに新しい段階へ進んでいきたいと考えているとあいさつがされ、閉会となった。
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